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2017年5月30日 (火)

14 警戒吠え対策

-目次はこちら-

警戒吠え対策

           

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写真は警戒吠えをしない犬たちの見本といえるだろう。中央のレオンベルガーは大きな体躯と穏やかな性格のため、他の犬を恐れることが少ないため、初対面の相手でも警戒吠えをしない。ジャックラッセルテリアのジャンも幼時よりあらゆる犬種と遊ばせて育てたので、相手がどんなに大きくても、強面でも警戒吠えはしない。左の2匹のジャックラッセルテリアたちは、初対面の犬に敵意がないことを示すため、知らん顔で地面の匂いを嗅いでいる。ただし彼らがこうして平和に過ごせるのは、幼時からの社会化を徹底したおかげだ。

 

警戒吠えとその理由

チャイムが鳴ったとたん玄関に走っていって、大きな声で吠える、家の前を誰かが通ると、その方向に走りながら、むやみに吠える、散歩の時、通りかかった犬にやたらと吠える、吠え方は、ワンワンワンと三音節以上続けて吠えるか、ワワワワンととぎれずに吠え続ける。こうした吠え方をしている犬は、相手に対して警戒心を持ち、自分独りでは対処する自信がないので「誰か来てくれ、怪しい事がある」と警戒と招集の吠え声を上げています。これらをまとめて、警戒吠えと定義する事が出来ると思います。この警戒吠えも、しばしば犬による騒音として問題視されます。では、どうすれば不必要な警戒吠えをヤメさせる事が出来るのでしょうか?

 

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若いドイツシェパードが道の向こうからワワワンと吠えてきたので、飼い主さんの了解をとって、マイロとジャンと挨拶をさせてみました。シェパードは耳を引き、尻尾を下げて振り、礼儀正しく挨拶してきました。対するマイロは尻尾を高く振り、耳を立てたまま挨拶しています。この場合マイロは相手を恐れていないので一切吠えていません。ジャーマンシェパードはまだ訓練中とのことで、犬種に特有の高い警戒心も影響して警戒吠えを行ったことになると思います。このような場合も、相手の犬と直接挨拶させて危険がないことを繰り返し学習させれば、徐々に相手の犬に吠え掛かることもなくなるはずです。犬の警戒吠えは未知のものに対する恐怖でも起こるからです。

 

警戒吠えは弱い犬ほどやる

警戒吠えは、気が強い犬が相手の犬を威嚇するためにやっていると勘違いしている飼い主さんがいますが、実際には不審な物音に反応したり、向こうから来る犬が怖かったりして、反射的に仲間を呼び集めたい気分になって吠えている事が多いので、むしろ気の弱い犬、自分を下位だと感じている犬のほうが良く吠える事になります。

警戒吠えが犬による騒音と見なされる事があるのは、犬にとって飼い主や同居の家族が頼りにならないと見限られてしまっている時です。この場合、犬は衝動的な恐怖を解消するために、招集の吠え声を上げているわけですが、いくら吠えても、自分の恐怖を払拭してくれる頼りになる存在が現れてくれないので、たとえ飼い主がそばにいたとしても、吠えやむ事が出来なくなってしまうのです。

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若いミックス犬がジャンと取っ組み合い遊びをしているうちに劣勢になり、恐怖心から、ジャンに警戒吠えを伴う咬み付き攻撃を仕掛けてきました。その瞬間、今まで静観していたマイロが抑制された咬み付き攻撃をおこないました。ミックス犬は、顔をそむけてそれを避けています。この様に、攻撃は恐怖の裏返しで行われることもあるが、その場合は警戒吠えが先に発せられるので人間も予測しやすいものです。むしろ問題はマイロの様に、相手を恐れずに、無言・無表情の状態からいきなり攻撃に移ることがある犬のほうだと思います。

 

警戒吠えの根本対策

反対に、毎日の散歩や訓練を通じて、犬が飼い主を頼りになる存在と見なしている時、警戒吠えは番犬としての勤めを犬が果たしているだけなので、あまり問題にする必要はありません。例えば家のジャンの例では…

・ピンポンとドアチャイムが鳴る。

•ジャンはいびきをかいて寝ていても、がばっと飛び起き、ダッシュして玄関に駆けて行き「誰か来たぞ、みんな集まれ」と吠えて騒ぎたてる。

•僕か家内が出向き「ヨシヨシ・ヤメ・ツケ」と、もう吠えなくても良い、脚側につけと命じる。

•普段から脚側歩行訓練などで、飼い主を上位者と見なしているジャンは、安心して吠えるのをやめる。

 

そんな風に脚側歩行訓練などで、常に飼い主を前面にたてる習慣がついていれば、犬は飼い主より一歩下がり、飼い主をバックアップする位置に着き、来客に本当に危険がないか、黙って警戒する立場に落ち着く事が出来るのです。

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マイロが唯一警戒吠えをする相手が、夜の散歩で時々出会うブタです。獣猟犬から見たらブタはイノシシと同じだから、彼女の判断は半ば正しいと思います。一方ジャンは、特に警戒することもなく、ブタに挨拶にいって口元をなめています。ただし、甘咬みもするので、ブタを大きな犬とみなして挨拶しているのか、食欲を感じているのかは僕にはよくわかりません。ちなみにブタはかなり迷惑そうに見えます。

 

強制的に吠えるのをやめさせるには

飼い主による犬の訓練が完成しておらず、まだ犬が飼い主を頼りになる上位者として信頼できていない場合、特に子犬が吠えるのをやめさせるには、犬の群れの上位者が、下位者を黙らせる方法をまねて、強制的に吠えるのを止める方法を使う事も出来ます。ただし、これは、あくまで短期的な暫定対策に過ぎないので、自分の飼い犬が声で静止命令を出しても吠えるのをやめない場合のみ使う様にしてください。

この方法は、犬の群れのボスや母親など上位の犬が、子犬に黙れという信号を発して、子犬を黙らせる方法をまねたものです。上位の犬は吠えている子犬を黙らせようとするとき、子犬の鼻面を、やんわりくわえ、低く短いうなり声で子犬に静止を命じます。子犬は鼻面をくわえられても痛いわけではありませんが、自分が叱られている事は認識出来るので、すぐに静かになるはずです。

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上の写真は、調子にのって騒ぐ若いオオカミのマズルを咬んで叱るアルファ牡。同じような叱り方をすれば、人間も犬の警戒吠えもとめることはできるが、吠える原因がはっきりしない時は、むやみに止めないほうが良いと僕は思います。吠えすぎる犬対策は、ともかく犬が吠えている原因を見つけることが大切です。

 

同じ様に、人間である飼い主も上位の犬の振る舞いを真似て、子犬が吠え続けるのを止めることができます。犬を左側にして膝をつき、左手で犬の首を保持し、右手で犬の鼻面を包むようにして押し下げるのです。そして低い静かな声で、「ヤメ」または「シズカニ」と命じます。犬が一回で黙らない時は、この行動を繰り返します。犬の性格によりますが、数回から十数回この動作を繰り返すと、「ヤメ」や「シズカニ」という命令だけで、犬は警戒吠えをやめる様になります。

この方法は、元々群れのボスが自分より下位の犬たちを黙らせる方法と同じなので、脚側歩行訓練などと平行して行うと、犬に飼い主を上位者と認めさせる強化訓練としても機能します。

しかし、前回も書いたように、犬が良く吠えるのは、私達人類が、良く吠える犬を選択育種してきた結果なので、むやみに強制的な手段で、犬が吠えるのを止める事は避けるべきだと思います。

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ジャンが初対面の柴犬と遊ぼうと、姿勢を低くして、耳を引き下から挨拶しています。しかしこの柴犬はジャンとの相性はあまりよくないようで、目の前でいきなり警戒吠えをされてしまいました。どんな犬でも恐れずにフレンドリーに挨拶できる犬も、好悪の感情までは乗り越えることができません。こういう場合は、犬を呼び戻して、他の犬と遊ぶように促すほうが良いでしょう。

 

警戒吠えを禁止するのは?

不審者の接近に気づいて、犬が警戒の吠え声をあげる時、例えそのほとんどが危険が無いとしても、僕は最初から黙らせないほうがいいと思います。オオカミ少年のたとえにもあるとおり、犬が危険を感じて吠える時、千に一つは、たとえば侵入盗犯が侵入を企てたのを、けたたましく吠える犬に阻まれた様な、本当に危険な状況が隠されているかもしれないからです。

犬が吠えた原因を探っても良く分からないときは、犬は人間には関知できない危険な気配に反応したのかも知れません。安全が確認されたら、飼い主は犬をそばに呼んで、なでて、もう大丈夫だから吠えなくても良いと保証してあげてください。強制的に黙らせるだけでなく、犬が吠えた原因を探り、必要ならその原因を取り除く手順を繰り返すことで、犬は吠えるべき状況と、吠えなくても問題がない状況を見分ける事が出来るようになっていきます。吠える犬がうるさいから、近所から苦情がくるからと言って、むやみに叱ったり、体罰を加えたりする事だけは絶対にしないでください。犬に理解出来ない理由や方法で犬を叱ると、飼い主と犬の関係は破綻してしまい、飼い主を信頼させる事で不必要に吠えなくさせると言う根本的な解決が不可能になってしまうからです。

犬に無駄吠えはありません。

繰り返しになりますが、犬にとって無駄吠えと言うのはありません。犬は吠えることで、一万年以上も前に我々の祖先から託された義務と仕事を今も果たしているという事を忘れないでください。 -目次はこちら-

つづく

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