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2017年5月30日 (火)

7.5 キツネ狩り猟犬でカブトムシ狩り!

キツネ狩り猟犬でカブトムシ狩り!

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マイロが我が家に来てから、夏の恒例行事となった、夜のカブトムシ狩り。狩りというより、ジャックラッセルテリアの猟犬の能力を利用して、街灯に掴まってしまったカブトムシを回収する作業ですが、その裏にはいろいろな事情がありました。写真は街灯に飛来したカブトムシのオスをポイントするマイロ。

 

ジャックラッセルテリアの様に猟欲の強い犬、体力旺盛な犬は、本当は東京の様な都市部で飼うのには向かない犬種だと思います。こういう犬は、できれば広い農場等に放し飼いにして、自主的に一日中害獣狩りをやらせた方が良い様な犬たちです。東京で飼うのに一番困るのは、強すぎる猟欲が、時として予期しない方向に発揮されてしまう事です。相手が犬や人、飼い猫などの同居者なら、社会化することでジャックラッセルテリアの襲撃を防止出来ます。しかし野生の小動物や野鳥が相手だと一緒に暮らすわけにも行かず社会化は不可能です。その結果、都市の公園緑地で散歩していると、しばしばジャックラッセルテリアは自主的に狩りを始めてしまいます。

マイロは以前僕の目の前でクマネズミを3匹瞬殺にしてのけました。ジャンは今までにカワラバト・ツグミ・スズメ等の野鳥が飛び立つ瞬間を狙ってジャンプして捕らえ、一撃で仕留めてしまいました。

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写真はハト・ツグミについで、とうとうスズメまでしとめてしまったジャン。巣立ち雛ではなく明らかに成鳥でした。鳥猟犬が半矢の獲物をしとめるのは珍しくありませんが、道で餌をついばんでいる成鳥のスズメを捕らえる犬は希なはずです。正直ジャックラッセルテリアの俊敏さには驚かされました。ジャンは本能の命ずるままジャンプしてスズメをしとめたものの、僕のハナセの命令で所有権を放棄し、叱られると思ったのか、顔を背けています。僕はこの強すぎる猟欲をなんとかする必要があると考えました。

 

マイロとジャンは獲物と認めた相手を襲う際、無言で何の逡巡もなく、ただピョンっと飛びついて前足で押さえながら咬み着き、素早く振り回して背骨を折り一瞬で殺してしまいます。これはジャックラッセルテリアが生粋の猟犬であり、強い猟欲と小動物を容易に捕殺出来る俊敏さを今も持ち続けているからでしょう。興味深いのは同じ犬種なのに、マイロはネズミや昆虫を捕らえるのが上手く、ジャンは鳥専門に近いことです。ジャンはジャックラッセルテリアとしてはコートが柔らかすぎ、耳も垂れ耳なので、もしかしたら鳥猟犬のスパニエルなどの血が入っているのかも知れません。

こういう犬たちは、何か猟欲を満足させるような遊びを行わないと、生き物だけでなく、家具や衣類さえ獲物に見立て、勝手に狩りを始めてしまいます。その結果、獲物にされた家具や衣類は惨憺たるありさまになってしまいます。僕はフリスビーやボールを回収する遊びで彼らの猟欲を満たしてきたつもりでしたが、飛んでいるゲームに咬み着く遊びは、ジャンの鳥捕りの能力を高める方に作用してしまったかも知れません。

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マイロとジャンの夏の間だけの猟場である近所の森林公園。ごらんの様に、夜間は道沿いに煌々と街灯がともり、この明るすぎる灯りに掴まって命を落とすカブトムシなどの夜行性昆虫がたくさんいる場所です。

 

僕は、マイロとジャンに、実害の無い狩りの機会を与え、狩猟本能を満足させ、合わせて多少でも実益が得られないかと考えました。そこで思いついたのが、夏の夜のカブトムシ狩りです。自宅のある東京の目黒は古くからの森林があちこちに残る土地柄で、今でもカブトムシやクワガタが棲み着いている場所があるのです。このカブトムシが緑地内の街灯に飛んでくるのを、犬と一緒に捜して捕まえようと言うのが、カブトムシ狩りの目的です。

都市の公園緑地には、ハシブトガラスもたくさん棲み着いています。夜、雑木林の林床や落ち葉堆肥の山から羽化したカブトムシは、しばしば緑地内の街灯に飛んできます。カブトムシは石炭紀に進化した昆虫の伝統を守り、月や星からの平行光に一定の角度を保って飛ぶ習性があるため、街灯の様な明るい点光源があると、光に一定の角度を保って飛び続けようとする内、螺旋を描いて街灯にぶつかってしまうのです。この性質のせいで、昆虫は一度街灯に捉まってしまうと、逃げ出す事ができなくなり、だれかが救出しなければ、翌朝にはハシブトガラスの朝食にされてしまうのです。

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一眼レフカメラにストロボを付けて撮った、カブトムシに鼻面を向けポイントするマイロ。マイロの独特の振る舞いでそこにカブトムシがいると言う予測はしていたが、撮影するまで、僕にはカブトムシそのものは見えませんでした。

 

僕はこの街灯にやってくるカブトムシを回収するのに、マイロとジャンを使ってみようと考えました。彼らは獲物を嗅跡と視覚と聴覚で探せるテリア系の獣猟犬なので、年齢と共に視力の落ちた僕に代わり、暗がりでカブトムシでも探してくれるはずだと考えたのです。

梅雨の晴れ間、じっとりと湿った空気が蒸し暑い6月末の夜、僕はマイロとジャンを連れて、毎年カブトムシの死骸をたくさん見かける区内の森林公園に出かけました。目指すはカブトムシやクワガタなどの夜行性の甲虫類です。僕はまず、マイロとジャンをベンチに座らせてから、目的物を指定せずに、サガセと命じて見ました。普段はサガセの声符で手の匂いなどを元臭に隠したボールを捜させる訓練を行うのですが、カブトムシの原臭は無かったので、こういう変則的な命令しか出来ませんでした。マイロとジャンは何も目的が示されないので、不承不承と言う様子で僕の前に出て、地面の匂いを嗅ぎながら歩き始めました。

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夜露に濡れた落ち葉や道に敷き詰められたウッドチップの上にカブトムシがいても、人間の眼で暗がりにいるカブトムシを見つけるのは困難でした。しかしジャックラッセルテリアは、嗅覚・視覚・聴覚を動員して、次々とカブトムシを見つけてくれました。

 

サガセの声符で何かを捜索する時は、マイロもジャンも僕に先行する事が許されています。やがてジャンが一本の街灯の下に落ちていたカナブンを見つけました。カナブンは本来昼行性ですが、発生の初期には、夜間街灯にくる虫もいます。目指す獲物ではありませんが、ジャンのモチベーションを上げるため、僕はマテと命じて、ジャンを止め、カナブンを回収し、ジャンをヨシヨシ・サガセと褒めて、ご褒美の砂肝ジャーキーの小片を与えました。

マイロはジャンがご褒美をもらうのを見たとたん、地鼻と高鼻を交互に使い、急に熱心に獲物を探し始めました。彼女なりに、捜さなければならない獲物を把握した様でした。やがてマイロは街灯の下の落ち葉に隠れていた大きなカブトムシを見つけました。僕はカブトムシに咬み着こうとするマイロに、マテと命じ、ジャンの時と同じように、ヨシヨシ・サガセと褒めて、ジャンに与えたのより大きな砂肝ジャーキーを与えて、カブトムシを回収しました。

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時には地元の同業者と鉢合わせする事もあります。マイロが見つめているのはヒキガエル。彼らも電灯に飛来する昆虫を捕食するために、夜街灯の下にやってくるハンターです。ちなみにヒキガエルには「ブフォトキシン」と言う猛毒があるので、犬が咬まない様に教えておく必要があります。

それから2匹は、次々とカブトムシやクワガタムシを見つけ始めました。おもしろいのは、マイロもジャンもカブトムシやクワガタにはすぐに咬み着かなくなり、少し距離を置いて、鼻面を向けてポイントするような仕草を見せた事です。これは、最初に鼻面を近づけ過ぎ、とげだらけの脚で蹴られたため、危険な相手と学習したからのようです。そして2匹の鼻面が示す先の交点には、必ずカブトムシやクワガタが隠れていました。

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鳥猟と同じ要領で、犬2匹に獲物のカブトムシをポイントさせると、彼らの鼻面の延長線の交差する場所にカブトムシがいる事が分かります。

僕はこのカブトムシ狩りを、雨が降らなければ、毎年6月末から9月中旬まで、マイロとジャンに手伝わせ、毎晩近くの森林公園で繰り返しています。森林公園には、立派な捕虫網と大きな懐中電灯を持った親子連れが毎晩数組やってきますが、今のところ犬を使っているのは僕だけの様です。気になる猟果ですが、毎晩散歩がてらに日没直後から1時間ほど「カブトムシ狩り」をやるだけで、少ない時で2-3匹、多いときは10匹以上のカブトムシやクワガタを見つける事が出来ます。

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今夜の獲物はカブトムシのオスが3匹、メスが1匹、ノコギリクワガタが1匹でした。都内23区の公園緑地で、1時間強の間にこれだけの昆虫を採集するのは視力の落ちた僕では難しいと思います。猟犬の協力があってこその採集結果でしょう。

 

一方人間だけで採集をやっている親子連れは、全く採れないか、採れてもせいぜい一匹だけと言う人たちが多い様でした。これは街灯に飛んで来たカブトムシが、街灯の下の落ち葉にすぐ隠れてしまうため、人間の目では見つけられないせいかも知れません。カブトムシは望んで街灯にくるわけではありません。人間の都合で作った明るすぎる街灯の被害者なのです。僕は毎晩、マイロとジャンが見つけたカブトムシを虫取りの親子連れに進呈して帰宅します。放置して翌朝カラスの餌食にしてしまうよりは、親子で大切に飼ってくれる人にあげた方がカブトムシも幸せだと思うからです。夏休みが終わり、もらい手がいなくなると、メスを自宅に持ち帰り、産卵させて幼虫を同じ森に帰すこともしています。

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夏の夜のカブトムシ狩りのもう一つの成果がこれ、疲れて横たわるジャックラッセルテリアたちです。通常の散歩だと数時間歩いても元気に帰宅するマイロとジャンだが、五感を総動員して行う狩りは、カブトムシ相手でも結構疲れるようです。これで今晩はおとなしく寝てくれる事でしょう。

 

僕は昨年なじみになった子供たちから「カブトムシ犬のおじさん」と呼ばれる様になりました。マイロとジャンは夏の間だけキツネ狩り犬からカブトムシ狩り犬になるわけです。毎年6月の終わりからカブトムシ狩りを始め、毎晩数匹ずつのカブトムシを見つます。マイロとジャンがいなければ、こんなにたくさんのカブトムシを見つける事はできなかったでしょう。改めてジャックラッセルテリアの猟犬としての能力の高さに感心しています。これを読んでいる猟犬の飼い主さんも、今年は犬と一緒に昆虫採集にチャレンジされてはいかがですか?

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