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2017年5月30日 (火)

10 犬を確実に制御するには?ツケを教えよう!

犬を確実に制御するには?

 

 

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ツケ(ヒール)の命令に従って脚側に戻り停座待機状態になったマイロ。この訓練は万が一に備え、犬を屋外に連れていく家族の全員がマスターしておくべき訓練です。

 

犬の性格によりますが、ツケ(ヒール・脚側停座)の訓練は、気性の激しい犬の場合、フセよりも前に、つまり犬のアイコンタクトが確実になり、スワレの命令に常に従う様になり、呼び戻しと脚側歩行が一定以上出来るようになったら、先に教えるべき訓練かも知れません。

実はツケの訓練は、単に犬を脚側に停座させるためだけの訓練ではありません。この訓練の本来の目的は、飼い主より前に出ようとしている犬を止めて落ち着かせたり、他の犬とじゃれている犬の遊びを中断して、呼び戻して脚側に静止させたりするのにも使います。極端な場合、よその人や犬に飛びかかろうとしている自分の犬をツケの一言で止めて脚側停座させるのにも使える訓練なのです。つまりツケの訓練は、活動中の犬のあらゆる動作を中止させ、飼い主の脚側に戻して静止させる、動から静への切り替えを、一つの命令で行うための訓練でもあるのです。ジャックラッセルテリアの様に活発で、時に攻撃的に振る舞う犬の場合、必須の訓練と言えるでしょう。

 

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ジャックラッセルテリアの中でも、ジャンの様に、比較的服従性が高い犬なら、通常の犬の訓練と同じく、脚側歩行と脚測停座をセットで教え、最初から座る位置を脚側で教えてしまうこともできます。今回ご紹介するどちらの方法を採るかは、飼い主さん自身が犬の性格にあわせて決めれば良いでしょう。

 

たとえば警察犬になる犬種では、最初のスワレの訓練の段階で脚側に停座させる訓練を教える事が多いです。ジャーマンシェパードやラブラドールリトリーバーの様に訓練性能の高い犬の場合、脚側歩行中にマテなどと命じて立ち止まり、犬が立ち止まったら、右手でリードを持ち、犬を脚側に立たせたまま首を少し吊り上げ気味にして、左手で犬の腰を下に押し下げながら、スワレを教え、スワレに従う様になったら、左太腿の外側を手で叩いて、犬の注意を引き脚側に停座させるだけでツケの訓練を教える事が出来ます。彼らは訓練手の補助動作や合図を容易に受け入れ、さらに訓練手が何を望むか、自分から積極的に探ろうとさえします。こうした訓練手法が通用する犬の場合、対面の停座は後から教える事になります。つまり脚側停座が訓練の基本動作となるのです。

 

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マイロの様にスワレの訓練を対面で始めざるを得なかった犬の場合は、対面から側面、側面から脚側と徐々に座る位置をずらしながらツケの訓練をする必要があります。

 

では、同じ犬座姿勢を取らせる対面停座スワレと脚側停座ツケの訓練は、犬にとってどんな違いがあるのでしょう?なぜツケの訓練を入れると、犬はおとなしく飼い主の脚側に座る様になるのでしょう?僕はこの2つの訓練は、犬の座る姿勢は同じでも、犬と飼い主の位置関係が異なるため、犬の安心感が違うのだと考えています。たとえば警戒心の強い犬に、飼い主が対面で停座を命じると、きょろきょろ回りを見回してなかなか落ち着かない事があります。彼らは自分も飼い主も無防備な背中を周囲に晒している事に不安を感じる為に落ち着かなくなる様に見えます。

反対にツケの訓練が入った犬が、飼い主の脚側に停座している場合、他の犬からの攻撃的な威嚇など、不測の事態にも飼い主と一緒に立ち向かえるため、対面停座より安心度が高い様に見えます。

一定以上犬と人に社会化された犬達は、特別に闘犬や番犬として訓練しない限り、自分から犬や人を攻撃することは希です。彼らは、相手が怖いと言う恐怖心による反動から、しばしば攻撃という実力行使に出ます。しかし高い社会性を持つ犬は、自分と飼い主が安全なら、相手を攻撃するより、飼い主の横で実力行使を伴わずに相手を近づけない方を選ぶ方が多いのです。

たとえば犬対犬で、ほぼ互角の相手でも、飼い主と犬が一緒に相手に立ち向かえば、相手の犬は威嚇の吠え声を上げても、お互いの限界距離の外側にいるかぎり襲って来ません。そういう心理的背景があるので、ツケの訓練が完成した犬は、たとえ攻撃準備態勢になっても、もっと極端な例では、他の犬と取っ組み合いをやっている最中でも、あらゆる活動を中断して、ツケの命令に従わせる事が出来るようになるのです。

 

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ジャックラッセルテリアは、子犬時代に犬と人を含む社会全般への社会化を十分行えば、たとえ相手が大型犬でもほとんど怖がりません。そのためこの犬種にツケを教えるのは、犬に飼い主との一体感を与えて落ち着かせる要素より、犬を飼い主の制御下に戻し、反社会的な行動を止めやすくする事が主目的になると思います。写真はドッグランでリード有りからリード無しに変えるべくツケを訓練中のジャン。

 

ところがジャックラッセルテリアの中には、マイロの様に、飼い主の庇護をそれほど必要とせず、さらに補助動作を全く受け入れない犬もいます。マイロの様な犬は、いわれのない自信の持ち主で、どんな相手でも自分でなんとか出来ると思いこんでいるふしがあります。ですから最初に対面で停座する習慣を付けた場合は、その位置をずらしながら、最終的にツケの命令だけで脚側に停座するように徐々に訓練していき、その位置関係の方が、犬にとっても安心感が増すと言う事を教える必要があります。

ツケの命令に犬が素直に従うかどうかは、飼い主と犬の関係にも影響されます。飼い主を信頼できる上位者と認めている犬は、ツケの命令に一旦従えば、安心して座りつづける事ができますが、信頼関係が確立していない相手がツケと命令しても、犬は安心できないため、脚側停座の状態も安定しません。反対に自信たっぷりな大型犬が飼い主家族の子供にツケと命令されると、その犬は子供を守ろうして、周囲への警戒レベルを逆に高める事もあります。つまりツケの命令で犬が確実に脚側に停座出来る様にするには、アイコンタクトから脚側歩行訓練までの訓練過程で、犬が飼い主を信頼できる上位者(犬の親代わり)として認めるように訓練する事が必要なのです。

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ツケの訓練をマスターすればこういう事もできます。ジャックラッセルテリアは外見だけは可愛いので「ワンちゃん触っても良いですか?」と幼い子供が良く寄ってきます。そんな時、ツケの一言で犬を脚側に停座させ、子供が好きなだけ犬をなでられる様に静止させておくのです。子供に犬の扱いを教えるには、最初にきちんとしつけられた犬なら怖く無い、と実体験によって納得させる必要があります。そんな時もツケの訓練が一番実用的です。

 

僕が、ツケの補助動作に一向に従わないマイロにツケを教えた方法は以下の様なものでした。

まずツイテと命じて、左の脚側にマイロを歩かせたままツケの姿勢を取らせたい場所まで歩いて行き、マテと声符と視符で命じながら立ち止まりました。次にスワレと命じました。マイロはスワレの声符に反応して僕の前に回り込んで来て、僕を見上げた姿勢で座ってしまいました。そこで、一端マイロ・ツイテと命じ脚側歩行してから同じ位置に戻り、今度は短く持ったリードでマイロを左のふくらはぎに押しつける様にしながら、ツケ・スワレと命じて見ました。マイロは不承不承、僕の左脚側に座りました。

この時、左手にマイロの大好物の砂肝ジャーキーを握り、ヨシヨシ・ツケと言いながら、左の太ももの外側をポンポン叩き、座る位置を強調しました。マイロが左脚側にツケができたら、すぐにヨシヨシ・ツケと褒めてご褒美を与えました。こうして「ツケにすぐ従うと良いことがある」と言う条件付けを繰り返し、脚側に停座させる訓練を行いました。

リードなしでツケに従わせる訓練も、基本的にリード付きで行うツケの訓練と同じ手順で行いました。最初はスワレ・マテで座らせた犬から少し離れ、オイデ、またはコイと犬を呼び寄せてから、ツケと命じました。リードなしだとマイロは、僕の足下から少し放れた位置に座る事がありました。 

その時は声符と視符でマイロ・ツケと命じなおして、正しい位置に停座出来たら、ヨシヨシ・ツケと笑顔で褒めました。

 

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ドッグランの中で遊んでいる犬たちにツケを命じたところ。ジャンは勢い余って、ベンチに駆け上がり駆け下り寄り道をしたが、ちゃんと僕の脚側に戻ってマイロとともに脚側で指示待ち状態になっています。

 

次の訓練は他の犬や人がいない、マイロが落ち着いていられる場所で、リードから放し、スワレ・マテを命じ、犬から静かに離れておこないました。犬の名前を呼びアイコンタクトして、最初はコイと呼び、近くまで来たらご褒美を持った左手で左の太腿をポンポン叩きながらツケと命じました。こうした訓練を生後8ヶ月まで繰り返し、やっとマイロはツケの声符と視符だけで、脚側に戻り停座して静止出来る様になりました。

マイロと同じように気性の激しい子犬にツケの訓練を行う場合は、この様な変則的な訓練方法を使わざるを得ない事があります。しかし一旦、ツケ(ヒール)の位置関係による安心感を覚えた犬は、積極的にツケの命令に従う様になっていきます。この様に、ツケの訓練でも、飼い主が終始一貫した態度を貫き、犬に信頼される飼い主である事を、常に犬に示すべきなのは他の訓練と同じなのです。

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子供達の散歩の練習につきあったあと、ベンチに座った子供からツケを命じられ、ベンチの上で子供の横に停座するジャン。訓練済みで従順な性格の犬はリードを持って散歩してくれる人間の命令をある程度聞く様になります。しかしリードの持ち方が甘かったりするとジャックラッセルテリアは相手の人間を同等以下に見て容易には従いません。この様にジャックラッセルテリアに対して常にリーダーシップを発揮するのは、容易な事ではありませんが、アイコンタクトから順に根気よく訓練を続ければ、僕はどんな犬とでも信頼関係を築くことができると考えています。視点を変えれば、僕にとっては訓練が目的なのではなく、毎日一緒に訓練を行う事で、犬に信頼され、尊敬される飼い主になる事が目的だと言えるでしょう。-目次はこちら-

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