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2017年5月30日 (火)

12 信頼で取り除く犬の分離不安

信頼で取り除く犬の分離不安

     

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散歩途中の私鉄の駅の改札前で、フセて家人の帰りを待つジャン。彼がこんな風に一人で駅頭で落ち着いて待てるようになるまで、およそ1年間の訓練期間が必要だった。一人で待てなかった理由、それは彼が抱えていた分離不安だった。

 

スワッテ・マテが出来なかった2匹目のジャン

 

犬の分離不安を訓練で解消した例を一つご紹介します。実は、マイロの訓練では、この問題は発生しませんでした。マイロはリーダーになるタイプの犬が持つアルファ気質と、幼少期から犬の量販店で単独飼育されていたせいなのか、家に来た当初から独りで飼い主の帰りを待つ事が平気な子犬でした。良く言えば我慢強い犬、悪くいえば鈍感な犬だったのかも知れません。その代わり、常に独立独歩で行動しようとするマイロを訓練するのは容易な事ではありませんでした。マイロは生後6ヶ月でやっとツケを覚えた様な訓練難易度が高い犬でしたが、独りで待つことだけは、最初から平気な犬だったのです。

一方我が家の2匹目のジャックラッセルテリアのジャンは、マイロの訓練を模倣する事で、服従訓練全般を数回教えただけで覚えてしまうような訓練性能の高い犬でした。しかしスワッテ・マテだけはうまくできませんでした。訓練のために、毎日他の犬と遊んでいる公園に連れて行き、木に繋ぎ、ジャンにスワレ・マテを命じ、僕とマイロがジャンから10mも離れるとキャンキャン大声で鳴いて不安を訴えました。僕はジャンの振る舞いを分離不安に起因する問題行動と考え対策を考えはじめました。

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僕は買い物に行くときもできるだけ犬を連れて出かける。この店舗は犬連れでは入れないので、買い物をするために、マイロとジャンをつなぎ、スワレ・マテを命じ、僕が離れると、マイロは座ったままなのに、ジャンはすぐに立ち上がってついて来たい様なそぶりを見せた。普段は下げた事のない尻尾も下がってしまっている。これは彼が抱えている分離不安のせいだったようだ。

 

僕はマイロが初めて飼ったジャックラッセルテリアだったので、この犬種はみんなマイロの様に我慢強い犬だと思っていました。ですからジャンの態度は意外でした。ジャンは、マイロがいないと独りで留守番さえ出来ませんでした。マイロが家人に連れられて出かけてしまい、僕とジャンしか家にいないときは、僕がトイレに入ったり、風呂に入ったりするたびに、扉をひっかいて、中に入ろうとさえしました。

ただし犬の分離不安は一概に悪い事ばかりではありません。たとえば軽度の分離不安なら、呼び戻しやリードなしのヒール訓練は教えやすくなるのです。こうした犬は、飼い主から離れると不安を感じるので、厳密な訓練をしなくても、名前を呼べば素直に飼い主の元に駆け戻り、いつも飼い主について回るような性格だからです。つまり犬の分離不安も、上手く対応すれば、良い方に導く事が出来る訳です。分離不安に基づく問題行動は、今まで飼った犬でも、拾って来た犬や、最初の飼い主に飼育放棄された犬に良く見られた行動でした。

想像ですが、ジャンの場合はペットの量販店で生後4ヶ月過ぎまで売れ残っていて、ずっと大部屋暮らしだったため、独りになる機会がほとんど無かった事が原因かも知れません。

 

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駅頭でのスワッテ・マテ訓練の様子を再現するとこんな感じでした。ジャンは知らない人でも、だれか周りに人がいれば、短時間は座って待つ事ができる犬だったので、その事を利用して、人通りが多い場所で訓練を始めました。ちなみに、この段階でも電車の騒音や人混みは平気な様子でした。

 

スワッテ・マテの教え方で分離不安を解消

東京の様な都市部で、犬を連れて外出すると、多くの店舗は犬連れで入る事が出来ません。つまり、外出の際、犬を家において出るか、出先で犬を店舗の近くに待たせて置くかの選択肢しかない暮らしを、飼い主と犬は余儀なくされる訳です。

僕は犬を連れて行ける場所には、いつでもどこでも犬連れで外出します。犬は独りで家に置き去りにされるより、少しでも飼い主と一緒にいることを望むと考えているからです。そのためジャンの様に分離不安が著しい犬には、なんらかの対策が必要でした。

僕はジャンにスワッテ・マテを教える過程で、ジャンの行動を繰り返し観察しました。マイロと一緒の時はスワッテ・マテが出来るので、次は二人で訓練を行い、ジャンに誰かついている状態でスワッテ・マテを試しました。色々試すと、ジャンは初対面の人でも、構ってくれる人がそばにいれば、短時間ならスワッテ・マテが出来る事が分かりました。

この事からジャンの分離不安は、家族やマイロから離れる事に起因するだけでなく、独りになる事を嫌う面もあるように思えました。僕はマイロが避妊手術で3日間留守になった期間を利用して、商店街や駅頭など、常に人通りがある場所で、ジャンを独りで待たせる訓練を始めました。回りにたくさん待ち合わせの人がいる場所に繋ぎ、ジャンにスワッテ・マテを命じ、ジャンから見える範囲で10mくらい離れて立ちました。ジャンは回りを見回して、僕の位置を確認すると、通り過ぎる人越しに僕の姿を見失わない様に、頭を小刻みに動かしてずっとこちらを見ていました。

この停座待機の訓練は1分くらいからはじめ、短い時間でもマテができたら、ゆっくり歩いてジャンの前に戻り、ヨシヨシ・マテと笑顔で大げさに褒めて、頭や背中をゆっくりと撫で、ご褒美を与えました。

 この訓練を徐々に時間と距離を伸ばしながら続け、10分、20mまでのばしていきました。ジャンは僕の立ち位置が段々離れて行くと、不安そうに通り過ぎる人越しに僕を捜してきょろきょろしましたが、おとなしく待っていれば、必ず僕がジャンの元に戻り、ヨシヨシと笑顔で褒めて撫でてくれ、毎回ご褒美ももらえる事を学習していきました。

この訓練のコツは、犬が不安を覚えて鳴き出す直前に訓練手が戻り犬を大げさに褒める事です。

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訓練中、僕が見える位置にいると、ジャンの視線は人混みを通り越して、常に僕の方に向けられていました。こうしたタイプの犬は、仮に分離不安があっても、従順な性格で、飼い主への依存度が高いので、訓練は入りやすいです。分離不安=悪いこと、だけではないと僕は思います。

 

翌日は人通りが少ない場所に繋ぎ、暫く見える所に立ったあと、僕はジャンから見えない店内に移動しました。店内からガラス越しに見ていると、ジャンは僕が入った店の扉を見つめたまま、根気よく座っていました。時々足踏みしながら、僕が消えた入り口を見張っていれば、僕が必ず帰ってくると確信しているように見えました。僕はジャンが立ち上がりそうになったり、ジャンプして僕の姿を捜したりし始める前にジャンの元に戻り、ヨシヨシ・マテと笑顔で褒めて、ご褒美を与える訓練を繰り返しました。

 

分離不安解消には飼い主と犬の信頼関係構築を

 

こうした訓練を3日間、電車の駅頭や公園で繰り返した所、ジャンは回りに誰かいれば、30分くらいはおとなしくスワッテ・マテが出来る様になりました。面白いのは、僕の姿が見えなくなると、よその人が構ってくれても、気もそぞろな様子で、あまり愛想良く振る舞わなかった事です。

 

マイロが病院から戻ってからは、散歩の時に毎日1匹ずつ行う脚側歩行訓練の際に、スワッテ・マテの訓練を毎日少しずつ繰り返しました。半年くらい毎日訓練を続けたところ、ジャンはひとりで外に繋がれても、家に残されても、おとなしく僕が戻るまで待てる様になって行きました。

 

僕はジャンの停座待機の訓練を通じて、分離不安からくる犬の問題行動の解決の一つの手段として、犬を独りでいる状態に慣らすだけでなく、おとなしく待っていれば、飼い主は必ず帰って来て褒めてくれると言う事を、犬に学習させる事、犬が飼い主を信頼して待てる関係を構築する事が重要だと考える様になりました。

 

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僕は天候に関係なく毎日2回以上、朝晩犬たちを連れて、毎日のべ3時間の散歩にでます。これは雨が降っても、雪が降っても変わらず、もう40年以上続けている毎日の習慣です。だから朝のテレビニュースもゴールデンタイムのテレビ番組も僕はリアルタイムで見た事がありません。犬と暮らすと言うことはそういう人間の不便さをおしてでも、犬との共同生活を優先する事なのだと思います。当然、どこにでも犬を連れていくので、犬を連れて入れない場所に行く時は、スワッテ・マテの訓練が必要になるわけです。

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