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2017年5月30日 (火)

13 要求吠え対策

要求吠え対策

 

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犬の要求吠えの根本対策は、犬に毎日十分な運動をさせ、幼いころから犬同士でたくさん遊ばせることだと思います。たったそれだけのことで、あなたの犬の要求吠えは減り、家庭内での態度も見違えるほどよくなるはずです。

 

犬はなぜ吠えるのか?

 

犬がワンワンと吠えるのは、人間が祖先のオオカミから犬を育種する過程で、はっきりと人間に分かる様な声で吠える個体を選択繁殖し続けたからです。その証拠に犬の祖先であるオオカミは、自然状態では驚くほど寡黙な生き物です。飼育されているオオカミでさえ、遠吠えと儀礼的闘争の時以外、ほとんど声を上げません。マイロの友達の狼犬も、ほぼ無言です。彼女は一般家庭で飼われているのですが、彼女を知る犬の飼い主さん以外、その家で大きな狼の様な犬が飼われている事を知っている人はいません。これは狼の血が濃い狼犬もほとんど吠えない事と、彼女が非常にシャイなため、知らない人がいると、全く姿を見せてくれないからです。

ある意味オオカミと言う生き物は、人の目から隠れて棲むのが得意な生き物であり、自分から人の注意を引くような吠え方はしない生き物だと言えるでしょう。逆に犬と言う生き物は、オオカミの警戒音声であるワフというような声から、ワンワンと大きな声で吠える様に人間がわざわざ育ててきた生き物です。これは狩りの際に獲物に吠えかかって足止めしたり、不審者に吠えて追い払ったりするため、人間が好んだ犬と言う家畜の新しい能力と言えるでしょう。では犬が吠え過ぎると何がいけないのでしょう?

 

Image099 この2匹はどんなに激しい取っ組み合い遊びをしても吠えない犬の典型といえるでしょう。オオカミの血が濃いオオカミ犬は、そもそも犬の様に吠えることがありません。一方のマイロは楽しく遊んでいるので要求吠えの必要がない、さらに相手のオオカミ犬を楽しい遊び相手と考え、怖がっていないので、警戒して吠えることも、恐怖から吠えることもありません。つまり犬というのは、吠える必要がなければ、むやみに吠える生き物ではないということです。

 

犬の吠え声は飼養放棄の主原因!

実は人口過密な都会や閑静な住宅街で犬を飼うとき、犬の良く通る吠え声は、となり近所から「うるさい!」と苦情を言われる原因になりかねないのです。考えてみると、犬の育種の歴史1万年から数万年の間、多くの犬は「良く吠えて獲物の居場所を教え、よそ者に吠えかかって追い払う」事を目的のひとつとして選択育種されて来たわけです。それを「事情が変わったのだから、もう犬も吠えない様にしろ」というのは、人間もずいぶん身勝手なことを言う生き物だと思います。

しかし、不要犬の引き取りと殺処分を今も続けている地域の「動物愛護センター」の統計を見ると「無駄吠え」と言う項目が「咬癖」とならんで、不要犬とされる理由の常に上位を占めています。つまり犬の「無駄吠え」を止める方法がわかれば、動物愛護センターに連れ込まれ、その結果殺されてしまう犬を減らす事が出来ることになるのです。

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ドッグランの中で遊び相手に会えなかったため吠えているマイロ。この時彼女は僕に遊び相手になれと要求吠えをしていることになる。こんなときはどうすればよいのでしょう?

 

犬に無駄吠えはない

ここで個人的な意見を述べてしまうと、僕自身は犬にとっての「無駄吠え」と言うのはないと考えています。犬は同居している人間や他の犬に、なにか訴えたい事があって吠えるものだと思うからです。そして人間と同居している犬が発する様々な吠え声の内、しばしば騒音として問題になるのは要求吠えと警戒吠えだと思います。この二つは、異なる原因による吠え声ですが、吠える原因が複数ある上、犬の欲求不満と恐怖に基づく吠え声であるため、短時間に吠えやむ事がない点が問題です。

 

要求吠えとその原因

犬が飼い主や他の犬に何かを要求しようとするとき吠えるのが要求吠えです。吠え方は、良く通る大きな声で、ワン・ワン・ワンまたは、ワン・・・ワンと言うように、相手をじっと見つめ、四肢を踏ん張って、一声ずつ区切って吠える事が多いです。要求吠えは、犬の相対的な地位が高い時によく見られ、「餌が欲しい」「散歩に行きたい」「何か投げてくれ」と言った具体的な要求があって吠える場合と、単に「暇だから」と、抽象的な欲求不満だけで吠える事もあります。

要求吠えの原因ですが、犬が散歩の時間に不足を感じている場合など、おもに運動不足からくるストレスが原因になって吠えている事が多いです。

要求吠えの根本対策は、毎日朝晩、犬がある程度疲れて帰宅したら自主的に休むくらいの運動量を確保することです。歩きの散歩をランニングの散歩にする、リトリーブを教えて遠くまで投げたゲームを繰り返し回収する遊びで運動させる、僕がマイロとジャンに夏にやらせているように狩猟ゲームをする、より遠くまで散歩に出るなど、ともかく犬が心身ともに疲れる運動をさせるのが効果的です。運動不足が解消されれば、犬のストレスも解消され、欲求不満を訴えるために吠えることもなくなるからです。

 

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犬の遊び相手がいないために要求吠えをしているなら、飼い主が代わりにゲームを投げてリトリーブ遊びに付き合ってやれば良い。マイロの様に、幼少期に犬の量販店で過ごし、独りで過ごした期間が長い犬の場合、子犬時代に社会化した相手以外とは親しく遊ぶ事ができない場合もある。そういう犬の欲求不満を満たしてやるのも飼い主の義務だと思う。

 

犬のわがままと正当な要求

もう一つの対策は、犬の要求を飼い主の都合で構わないので、わがままと飼い主が受け入れられるものに切り分けて対処することです。

たとえば家人が家事で立ち働いている時に要求吠えをしてきたら、一切構わずに無視を続けます。この時、声を荒げて叱るようなことは逆効果です。ともかく、犬が吠えやむまで無視してください。犬は吠えても構ってもらえない事が分かれば、要求吠えをしても効果がない事を学習し、要求吠えの頻度は下がって行きます。しかし、その要求が外に定時のトイレに行きたい、という切実なものだったら、飼い主が犬のトイレのタイミングを把握できるように毎日観察を行い、犬が要求吠えを始める以前に対応する必要があります。

こんな風に、犬が吠える時、そこには必ず理由があります。吠える理由は、犬が感じている欲求不満や不都合です。それを飼い主の側が切り分けて、常に一定の基準に基づいて対処していけば、要求吠えは徐々に解消する事が出来るものだと思います。

 

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このトイプードルは最初、道の向こう側でジャンに一緒に遊ぼうと要求吠えをしていた。ところがジャンが誘いに乗って、飛びついた瞬間、今度はジャンが怖くなり、歯をむき出し警戒と恐怖の吠え声を上げてしまった。

 

犬が吠えるかどうかは氏より育ち

上の写真のプードルの様に訓練性能の高い賢い犬であっても、社会化が不十分で訓練未了な犬の情緒は不安定で、相手の行動によって感情も吠え方もめまぐるしく変わるものです。一方ジャックラッセルテリアという訓練難易度の高い犬でも、幼時からの徹底した社会化と飼い主を上位者とみなすような訓練を行えば、他の犬をむやみに恐れることがなくなるので、相手に目の前で吠えられても、吠え返すことすらしない様にできます。

このように飼い主は自分の飼い犬の吠え方の様子や、振る舞いをよく観察して、犬の感情の変化を読み取り、犬に任せたままでよいか、飼い主が制御すべきかを、その場その場で判断して対処しなくてはなりません。

ちなみに2匹にお尻をむけて右隅で地面の匂いを嗅いでいるマイロの行為は敵意がないことをしめしているカーミングシグナルにあたります。彼女のこの態度も、ジャンに危険が迫れば、瞬時に相手に対する攻撃に切り替わる一時的な振る舞いにすぎません。意外かも知れませんが、この状態で注意が必要なのは、実はマイロのように前兆を見せずに、瞬時に攻撃に移る犬の方なのです。

 

次回は、警戒吠えの原因と対策について考えて見たいと思います。

-目次はこちら-

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